星の色の違いについて語ってたら思ったより壮大な話になった
こんにちは。テカポ星空ガイドの角田です。夜空を眺めていると、星によってそれぞれ違う色に輝いているのがわかります。今回は、星の色はナゼ違うのか?についての記事です。
オレンジ色の星がある
以前の記事でもご紹介しましたが、今の季節、テカポではさそり座が綺麗に見えます。さそりの心臓にあたる星・アンタレスはオレンジ色の明るい一等星です。
また、テカポでは最近夜中過ぎには東の空からオリオン座が上がってきます。オリオン座の中にもベテルギウスという名のオレンジ色の星があります。
こういった星々の色の違いはどのように起きるのでしょうか?
いきなり、答えを言います
結論から言うと、こういった星々の色の違いはその星の表面温度の違いによって生じます。この答えだけで、「あーなるほど!」と思った方はもう今回の記事は読まなくていいかもしれません(笑)
ただ、大半の方は「なんのこっちゃらワカラナイ」と感じているかと思いますので、この辺りの話をもう少し詳しくしていきます。極力物理的な話は避けて、イメージしやすい表現をしていきたいと思います。
星は死ぬまでずーっと燃え続けている
太陽をイメージしてもらうとわかりやすいのですが、星は生まれてから死ぬまでずーっと燃え続けています。(厳密には燃えているのではなくて、水素原子4つが核融合反応によってヘリウム原子を生成する反応により、熱と光を放っており・・・)
生まれて間もない頃の星は、星の中に燃やす材料がたくさんあるので高温で燃えます。それに対して、寿命がどんどん後半になると星の中に燃やすものがなくなってきて温度が下がっていきます。
燃えているものの色はその温度によって違います。身近な例でいうと、ガスコンロの火とろうそくの火を想像してみてください。色が違いますよね?ガスコンロの火は約1800℃、ろうそくの火は約600℃です。
この2つの例からもわかる通り、高温で燃えている星は青っぽい色、低温で燃えている星はオレンジっぽい色になります。
ここからが本題
ここまで読んでいただいた方には、オレンジ色の星は寿命が後半で温度が低いからそう見える、ということはわかっていただけたかと思います。逆に、青っぽく輝いている星は、生まれて間もない若い星です。
ただ、私が今回話しておきたかったのは実はこの先にある話です。最初、表面温度の正解発表だけで納得してこのブログから去ってしまった人は惜しいことをしましたね。
アンタレスやベテルギウスといったオレンジ色の星は寿命が後半なんですが、ではその寿命が終える瞬間にはどうなるのでしょうか?この辺りに考えをめぐらすと、面白いことが判明しますので、もう少しお付き合いください。
超新星爆発!
なんかカッコイイタイトルです。恒星は寿命が後半になると、温度が下がるだけではなく膨張を始めます。さそり座のアンタレスは太陽の800倍ほどのサイズまで膨れ上がっていると考えられています。
そして、その寿命を終える瞬間にはどっかーん!!と爆発してその一生を終えます。この爆発のことを超新星爆発と呼びます。(実際、超新星爆発を起こすのは太陽の8倍以上の質量の恒星のみで、太陽と同等の恒星は白色矮星となって・・・)
ここからホンマの本題
さそり座のアンタレスは地球からの距離が約550光年、オリオン座のベテルギウスは約640光年のところにある星です。
は?だから何?と思った方もいるかもしれませんが、550光年先にあるということは、光のスピードで550年かかる距離にあるということです。つまり、私たちが今テカポから見ているさそり座のアンタレスの星の光というのは、550年前にアンタレスで放たれた光が550年かけて地球に届いたものを見ているわけです。
550年前に放たれた星の光がすでに寿命の後半、ということは現時点でアンタレスはもう寿命を終えているかもしれない。アンタレスは超新星爆発を起こしているかもしれない、と考えられています。
ただ、その超新星爆発の光が地球に届くにも550年かかります。なので、アンタレスが超新星爆発を起こしたとしても、我々がそれを知れるのは爆発から550年後です。今目で見ている星が、実はもう爆発を起こしてこの世にないかもしれない。なかなか宇宙の広さを感じさせてくれる事実じゃありませんか?
もし仮に、アンタレスがすでに超新星爆発を起こしていたとすれば、今から550年以内にアンタレスがピカーッと明るく光ります。それが超新星爆発の光が地球に届いた瞬間です。それ以降、その場所に星は無くなってしまいます。心臓のないさそりになってしまうわけですね。
結局何が言いたいか
長々と話を続けてきましたが、結局何が言いたいかというと、「宇宙は広いよ」というお話でした。